カイシンノステミ

毎月100冊以上の漫画&小説を読みながら発達障害でわちゃわちゃしています

【最高傑作】『伝説』×『鬼才』の新生"どろろ"「サーチアンドデストロイ」にもう首ったけ【手塚治虫×カネコアツシ】

f:id:LMU:20190406122827j:plain
今年で一番面白いやつの登場です。

 今回ご紹介するのは時代を越えた「伝説×鬼才」の最強タッグのこちら!

 カネコアツシ氏が再構築する名作「どろろ」!

「サーチアンドデストロイ」でございます!

ネタバレなしで記事を書いてますので、これから読む人も安心してご覧下さい。

「サーチアンドデストロイ」あらすじ

Amazon サーチアンドデストロイ 1 (TCコミックス)

「捜し出し、破壊しろ!!」

手塚治虫の名作『どろろ』を大胆にアレンジした、カネコアツシ渾身のSF異形譚がここに開幕!!

内戦後――兵士や労働力として大量に生産されたクリーチャーと呼ばれるロボットが街に溢れ、
あるものは路上に、あるものは裏社会に身を置き、市民との軋轢を生んでいた。
ある夜、盗みを働きヤクザクリーチャーに捕らえられた孤児ドロの前に、一見、
人間ともクリーチャーともつかない少女が現れる。
獣の毛皮を身にまとい、怒りに満ちた眼差しで親玉キックに襲いかかる少女。
その機械の四肢には、最強の武器が装備されていた……!

手塚治虫生誕90周年記念マンガ書籍「テヅコミ」にて
掲載された『サーチアンドデストロイ』が待望の単行本化!
引用:Amazon 

鬼才・カネコアツシ氏が独自の解釈で再構築した「サーチアンドデストロイ」

f:id:LMU:20190406094254j:plain

舞台は内戦後、貧富の格差や暗躍するマフィアで混沌とする世界。

f:id:LMU:20190406094247j:plain

この世界では生身の人間(ヒュー)と、兵士などの労働力として大量生産されたロボットのクリーチャー(クリーチ)の2種類が存在し、「ヤクザクリーチャー」などが巨大な権力を持ち始めていた。

f:id:LMU:20190406094342j:plain

ロボットとい言いつつも自我を持ってしまったクリーチは、さらなる娯楽を求め「人間の体の一部を取り込む」という最大のタブーを犯し始める。

f:id:LMU:20190406094238j:plain

人間の生身による「味覚」や「視覚」などの感覚はロボットのそれと比べ、遥かに優美に感じることができ、一部の富裕層やマフィアはその感覚に酔いしれていた。

f:id:LMU:20190406094221j:plain

そこへ、身体中に怒りを溜め込んだ一人の少女が現れる。

f:id:LMU:20190406094310j:plain
さぁ!「カネコアツシ版"どろろ"」の壮絶なストーリーの幕開けでございます!

『伝説・手塚治虫』と『鬼才・カネコアツシ』の時代を超えたコラボレーション

f:id:LMU:20190406094212j:plain

漫画が好きでも好きじゃなくても、日本人なら誰でも名前を知っている漫画の神様「手塚治虫」の代表作「どろろ」が、鬼才・カネコアツシ氏によって完全リブート!

 

カネコアツシ氏をご存じない方もいらっしゃると思いますが、実は独特な世界観と絵のタッチが海外でも評価され、一度ハマれば抜け出せない日本を代表する漫画家の一人!

最近だと「マキシマムザホルモン」のジャケットを描いたことで知ってる人も増えたかな?

アメコミともバンドデシネとも違う、カネコアツシワールドとも言える世界観で再構築される「どろろ」はまさに"オルタナ"。

 

伝説の「どろろ」を土台に、大胆な解釈で新たに再構築されて繰り広げられる「サーチアンドデストロイ」は、ビートルズの「ペーパーバックライター」をカートコバーンが暴れながら歌うように乱暴で激しく美しい、まさに『伝説×鬼才』。

f:id:LMU:20190406094301j:plain

こんなにも胸震える名作は私生涯でもう出会えないかも。

本家「どろろ」と「サーチアンドデストロイ」の違い

ここで本家「どろろ」と「サーチアンドデストロイ」の相違点について、登場人物なども含めて簡単にご説明しておこうと思います!

「サーチアンドデストロイ」主人公・百(ひゃく)

f:id:LMU:20190406101922p:plain

出典 :TVアニメ「どろろ」公式サイト

こっちのほうが今はわかる人も多いかなぁと思いまして、本家と言いつつ比較画像がアニメ版ですいません。。

まず主人公ですが、本家「どろろ」では百鬼丸という青年だったのに対し
「サーチアンドデストロイ」では百(ひゃく)という名前の少女になっており、冒頭から怒り心頭で登場するなど、かなりの直情型。

 

見た目でかなりのクールビューティーかと思いきや、カップケーキを屋台の店先でガッついちゃう可愛い一面もあったりして

f:id:LMU:20190406111041j:plain

雰囲気としては「チェンソーマン」のパワーちゃんに若干似てる感じ。

自分の体を取り戻すために怒りに燃え殺伐としたオーラをまとっている分、子供らしい少女な部分がコントラストになってすごく可愛い!

「サーチアンドデストロイ」もうひとりの主人公・どろ

f:id:LMU:20190406101916p:plain

出典 :TVアニメ「どろろ」公式サイト

そしてこちらがもう一人の主人公・どろ。

「どろろ」では百鬼丸と一緒に旅する可愛いちびっこコソドロだったのですが、「サーチアンドデストロイ」では普通に可愛くないストリートチルドレンになってます。

 

こいつも原作同様に「自分のため」に百に近づき、ひょんなことから行動を共にしていきますが、いかんせん可愛くないw

 

コソドロとして地元のマフィアと関わりがあった分マフィア事情に精通しており、その知識を生かしながら百を良くも悪くもアシストしていきます。

「サーチアンドデストロイ」百の育ての親・九十九(つくも)

f:id:LMU:20190406101928p:plain

出典 :TVアニメ「どろろ」公式サイト

原作では「寿海」もしくは「寿光」の名前で登場した百鬼丸の育て親は
「サーチアンドデストロイ」では九十九(つくも)と名を変え、キャラクターも酔いどれ歯抜けジジイという最高の仕上がりに。

 

それでもただの歯抜けジジイというわけじゃなく百の体の真相や物語の黒幕につながるバックボーンなども抱える何気に重要人物。

こういうおっさんの扱い方が本当にカネコアツシ氏は上手。

 

百の名付け親もこの九十九で、戦い方や生き方を教えたのもこの歯抜けジジイ。

「サーチアンドデストロイ」は体の取り戻し方も違う!

f:id:LMU:20190406094336j:plain

「サーチアンドデストロイ」でも戻すべき体のパーツは原作と一緒の48個で、パーツごとのエピソードもいい感じにエゲつなく生々しく、1つのパーツの重みがすごい。

 

原作「どろろ」は敵を倒したら百鬼丸が「うぐぅー!」つって体のパーツが戻っていくのですが、「サーチアンドデストロイ」はそういう超常現象の類はありません。

 

ので、悪党を倒して体の一部を取り返したらそれを飯ごう(キャンプで米炊くやつ)にしまって持ち帰り、この奇妙な看護師ロボット・ナー&スーに

f:id:LMU:20190406094401j:plain

 直接入れてもらいます。

この辺のハイテクなんだけどもスチームパンクでアナログな感じも最高。

【感想】「サーチアンドデストロイ」はBambiともデスコとも違うダークヒーロー!

f:id:LMU:20190406094407j:plain

単刀直入に感想を言いますと
1巻を読み終えるのが本当にもったいなくて嫌なくらいとにかく最高に面白かったです。

 

主人公・百のキャラクターが魅力的で、カネコアツシ氏の作品は全部読んでるのですがその中でもトップクラスに好きなダークヒーローかもしれない。

今まででも「BAMBi」や「デスコ」といった素晴らしい不動の主人公がいるのですが

今回の「サーチアンドデストロイ」の主人公・百に関して過去作と唯一違うのは、「戦う理由」が明確にあることなんですよね。

 

「無垢」であったり戦いがめちゃんこ強いとかの共通点はあるものの、この理由があるだけでここまで違う魅力が引き出されるのかと正直驚きが隠せません。

f:id:LMU:20190406094348j:plain

主人公の基本のスタンスとしては今までのカネコアツシ氏の作品とそこまで大きくは変わらないのですが、さすが伝説の『どろろ』なのか、今までのカネコアツシ作品とは質の違う「美しさ」が目を奪って仕方がない。

映画という共通点の「伝説・手塚治虫」と「鬼才・カネコアツシ」

f:id:LMU:20190406102258j:plain

手塚治虫氏が、大好きだった演劇や映画などの手法をマンガの演出法へ導入したことはあまりにも有名ですが、実はカネコアツシ氏も映画への造詣が深く、漫画を「一人で創れる映画」という動機で描き始めているのも有名なお話。

f:id:LMU:20190406094355j:plain

こういう映画ファンなら「ニヤっ」としてしまうキューブリック的な遊びももちろんですが、コマ割りから魅せ方が非常に映画で素晴らしいので、カネコアツシ氏の漫画は是非とも単行本で見ていただきたい!
(というか「サーチアンドデストロイ」は電子書籍は発売されていないので単行本になってしまうのですが) 

f:id:LMU:20190406094301j:plain

そんなお二方の時代を越えたコラボレーションが相性悪いわけがないでしょ!

マジで今年間違いなく最高に面白い作品の一つです。

っていうか『テヅコミ』って何?

f:id:LMU:20190406094317j:plain

 と、ここで私も初めて知ったのですが「サーチアンドデストロイ」はどうやら「テヅコミ」という「手塚治虫生誕90周年記念マンガ書籍」の中の一つの作品らしく、他にも

  • 『新約・リボンの騎士』(原作:リボンの騎士) 武礼堂
  • 『HeiSei七色いんこ』(原作:七色いんこ) 石田敦子
  • 『京獣物語』(原作:バンパイヤ) ボクテンゴウ
  • 『亜夜子』(原作:奇子) 九部玖凛
  • 『とらわれのエデン プライム・ローズ』(原作:プライム・ローズ) 蒼一郎
  • 『懊悩!マモルくん』(原作:マグマ大使) しりあがり寿
  • 『和田ラヂヲの火の鳥』(原作:火の鳥) 和田ラヂヲ

などなど、様々な漫画家の方がトレビュートで参加しているらしくメチャクチャ面白そう。

 

個人的には

『懊悩!マモルくん』(原作:マグマ大使) しりあがり寿
『和田ラヂヲの火の鳥』(原作:火の鳥) 和田ラヂヲ
が非常に気なる。。。。

興味のある人はぜひこちらからチェックしてみてくださいません!

 

しかも、今なら「サーチアンドデストロイ」1巻の続きがそのまま「テヅコミ」で読めちゃうようですよ。

 あー、定期購読するかなぁ。

「サーチアンドデストロイ」まとめ

はい!というわけで今回は「サーチアンドデストロイ」をご紹介させていただきました!

マジでマジでマジでこんなにオススメな漫画ないので、興味のある人は速攻で書店にゴーしましょう。

私は保存用にもう一冊買っちゃおうと思ってます。

それでは!また!

サーチアンドデストロイ 1 (TCコミックス)

サーチアンドデストロイ 1 (TCコミックス)

 

www.kaishin-no-sutemi.com