カイシンノステミ

毎月100冊以上の漫画&小説を読みながら発達障害でわちゃわちゃしています

ケーキの切れない非行少年たちと「時計仕掛けのオレンジ」

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この前、大切な友人の勧めで

「ケーキの切れない非行少年たち」

という本を読んだんですが!

Amazonのページ飛んじゃうから画像クリックしないでね

  • カズレーザーがオススメしてたり
  • 漫画化も決まったりして

バリバリのベストセラーになっているのね!

 

が。

 

普通にサラサラっと読んでると

「ふーん!なるほど!」ってなりそうな

 

でも内容をちゃんと読むと

めちゃくちゃに危ない本だったので。

 

今回はこの本について危険な部分私が思うこと

  • 発達障害
  • 愛着障害

にも触れつつお話ししていきたいと思います。

 ※今回は久しぶりに長い記事なので、お時間のあるときにぜひ読んでみてくださいませ。
気になる人は「最後に」に飛んでそこだけよんでもいいわよん。

 

それではいってみよー!

 

「時計仕掛けのオレンジ」とケーキの切れない非行少年たち

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さぁさぁ!

 

まだこの本を読んだことがない人のために

  • この本がいったい全体どういう内容か

というのを簡単にまとめてご紹介するとですね。

 

  1. 児童精神科医の作者が多くの非行少年と会う中で
  2. 非行少年の問題は普通の学校の子供と根本的に一緒だと。
  3. 認知機能が低いという軽度知的障害を抱えていると。
  4. それで、こういう子たちには話を聞いたり
  5. 自尊感情を上げようとしても意味がないから
  6. 特別支援教育で教育をしていくことが大事なので
  7. 私の発案したコグトレをしようぜ!

って話でございます。

 

  • え?こんな話だったっけ?

ってすでに読んだ人は思うかもしれませんが

 

ハイ、悪意全開でまとめておりますルムですどうも。

 

そんなのひどいじゃん!

ネガキャンじゃん!!

って思う人もたくさんいると思うんだけど

 

ちょっとまっておじさんに5分ちょうだい。

 

今からおじさんが本文を引用しつつ

  • 発達障害
  • 愛着障害

なんかの問題も含めつつ

いろいろおじさんの思うことを書いていくから

 

それを読んだ上で 

なんだよこのハゲ全然分かってねぇじゃんSNSで叩こ!

ってやっていいからさ。

 

だもんで、今から早速この本の内容に

おじさんがウダウダ言わさせてもらうんだけんども

この本、書き方がズリィンだよ。

 

非行少年たちは軽度知的障害?

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まず、この本は冒頭で作者が少年院を訪ねた時に

しかし一番ショックだったのが、

  • 簡単な足し算や引き算ができない
  • 漢字が読めない
  • 簡単な図形を写せない
  • 短い文章すら復唱できない

といった少年が大勢いたことでした。

引用:ケーキの切れない非行少年たち p24

っていうことにショックを受けちゃうんだけどさ。

 

少年たちはこういう「できないこと」によって

学校にいた時にいじめなどにあってしまって

それが非行の原因になっているんだと。

 

ここまではおじさんも納得なんだけども

この本がいうにはさ。

  • こういった認知機能の低さが不適切な行動や犯罪を犯す原因になっている。

らしいのよ。

 

つまり、さっきの「できない」シリーズの

  • 簡単な足し算や引き算ができない
  • 漢字が読めない
  • 簡単な図形を写せない
  • 短い文章すら復唱できない

 こういうことは「認知機能の低さ」のせいであって

この「認知機能の低さ」が

不適切行動や犯罪を犯す原因になっていると。

 

それで、読み進めて行くうちにどうやら

この「認知機能の低さ」っていうヤツは

認知機能とは、記憶、知覚、注意、言語理解、判断・推論といったいくつかの要素が含まれた知的機能を指します。

引用:ケーキの切れない非行少年たち p43 

っていうものであるらしく

  • 軽度知的障害
  • 境界知能(明らかな知的障害ではないが状況によっては支援が必要)

といった知的にハンディを抱えている」ことが

「認知機能も低さ」の原因なんだと。

 

原因原因うるさいんだけども

とどのつまり

  • 「知的にハンディを抱えている」から
  • 「認知機能が低く」なっていて
  • 不適切行動や犯罪を犯してしまう

と。

 

なるほど。

 

ここでちょっぴり疑問は湧くものの

まだこの本の言い分をちゃんと聞かないとわからないので

とりあえず読み進めて行くことするんですがね。

 

どうやらこの本的には

子どもが少年院に行くということはある意味、"教育の敗北"でもあるのです。

引用:ケーキの切れない非行少年たち p27

 教育の敗北がこの事態を巻き起こしているらしい。

 

ってことは、逆に「教育の勝利」があれば

この問題は解決できるということだと思うので

大事なのはこの本のいう「教育」がどういうものかですな。 

 

何をもって「知的障害」としてるの?

f:id:LMU:20200813174905j:plainがしかし!

 

やっぱり気になるのは先ほど言っていた

  • 「認知機能の低さ」の原因は知的障害などの知的ハンディによる

という部分。

 

この本では非行の少年の特徴をまとめた 

「非行少年の特徴5点セット+1」という

 嬉しくもなんともないバリューセットを組んでくれるのですが

 

その内容はどんなもんかというと

  • 認知機能の弱さ
    見たり聞いたり想像する力が弱い
  • 感情統制の弱さ
    感情をコントロールするのが苦手。すぐにキレる
  • 融通の利かなさ
    何でも思いつきでやってしまう。予想外のことに弱い
  • 不適切な自己評価
    自分の問題点がわからない。自信があり過ぎる、なさ過ぎる
  • 対人スキルの乏しさ
    人とのコミュニケーションが苦手
  • 身体的不器用さ
    力加減ができない、身体の使い方が不器用

引用:ケーキの切れない非行少年たち p48

ん?

これ発達障害と愛着障害の症状多くね? 

 

この本の言い分では

想像力が弱いと、「今これをしたらこの先どうなるだろう」といった予想も立てられず、その時がよければそれでいいと、後先考えずに周りに流されてしまったりします。

このように、認知機能の弱さは勉強が苦手というだけではなく、様々な不適切な行動や犯罪行為につながる可能性があるのです。

引用:ケーキの切れない非行少年たち p50 

などなど、認知機能が低い(知的ハンディがある)と

想像力がなかったり人の気持になって考えることができないので

先ほどの「非行少年の特徴5点セット+1」の問題を起こしてしまうと。

 

ここで「この本はダメだ!」と決めるのはまだダメだすよ!

 

ひょっとしたら非行少年たちは

勉強の機会がなくて

ものを知らないことが多いから!

 

『一般知識を持っていない』って意味でさ!

そのことを知的ハンディって言ってるのかもしれないじゃない!
(それもそれでやばい気はするんだけども)

 

だから、そういった意味で「教育」の機会や改善をさ!

お話ししてくれるかもしれないじゃない!?

 

と思って読み進めて行くと

この本のいうところの軽度知的障害っていうのは

もし小学校で特別支援教育につながっていたら、彼も少年院には来ていなかったし、被害者を作らなかった可能性もあったのです。 

では、特別な支援が必要ながら気づかれていない子供たちは、どのくらいいるのでしょうか。

現在、知的障害には一般的にIQが70未満で、社会的にも障害があれば診断がつきます。

引用:ケーキの切れない非行少年たち p99

どうやらIQがベースで考えるようでございまして。 

1950年代の「IQ85未満」を適用すると、16%ということになります。

引用:ケーキの切れない非行少年たち p107 

なんか知らないけど1950年とかいう

都合のいい時代のデータでお話を進めつつ

知能障害は全体の2%で、これを先ほどの16%から引くと軽度知的障害の割合は14% 

この世の中で普通に生活して行く上で、IQが100ないとなかなかしんどいと言われています。

IQ85未満となると相当なしんどさを感じているかもしれません。

引用:ケーキの切れない非行少年たち p108 

この世の中の14%は軽度知的障害なんだって。

 

いやぁ、それはちょっとお話が違うじゃなーい。

 

簡単に発達障害と愛着障害をおさらいしましょう。

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ここで「愛着障害ってなに?」って人もいるので

簡単に発達障害と愛着障害のご説明しますけども

発達障害と愛着障害って症状がすごく似てるんですね。

 

めちゃくちゃざっくりいうと

  • 発達障害→先天性な脳の障害
  • 愛着障害→後天性な養育による障害

って感じでございまして。

 

発達障害の方はちょっとこのブログで色々書いてるから

省略させてもらいますけども

ひとつだけこの本の中で言及されてる部分に触れますと

特に自閉症スペクトラム症(ASD)をもった非行少年は独特のこだわりをもっている感触があります。

そのこだわりがいい方向に向けば素晴らしい偉業を成し遂げることにつながったりするのですが、例えば"人を殺してみること"という方向に向いたなら、それを消すことがなかなか難しいことがあります。

その後は何を聞いても"もう殺したい気持ちはない"としか答えなくなりましたが、殺したい気持ちが消えたとは信じがたい状況でした。

引用:ケーキの切れない非行少年たち p43

この部分に関して私の思うことを書いておこうと思います。

 

この部分は個人的にまったく論点がズレている話で

ASDによって起きるこだわりというのは

  • 触覚や聴覚、視覚などの知覚
    (肌触りや音質など)
  • 興味のあることに対してのやり方など

に伴うものでありまして。

 

仮に殺人衝動で言うならば

  • 殺し方

などに対する「こだわり」ということになるわけで。

 

つまり

  • ASDだから殺人衝動が強くなるわけではなく
  • 殺人衝動を持ってしまった人がASDのこだわりで
  • そのやり方にこだわってしまう。

ということなんですね。

 

なのでこの場合は

  • 殺人衝動を持っていること自体が問題

として考えなくちゃいけないわけで

ASDはぶっちゃけ根本的な問題には関係ないんですよね。

 

ASDだから殺人衝動を消すことがなかなか難しいんじゃなくて

殺人衝動を持っている人から殺人衝動を消すのが難しいだけ。

 

この書き方だと

ASDが故に殺人衝動を持つみたいに聞こえるので

読む人には本当に注意していただきたい。

 

ほいで、お次に愛着障害なんですけども。

 

愛着障害っていうのは

お母さんとかお父さんの育て方がちょっと歪んじゃってたりして

幼少期の愛着形成に問題を抱えてしまう障害のことでして。

 

主な症状は

・人間関係の距離感が極端になりやすく、トラブルを抱えやすい

・自尊心や自信が持てない

・自律神経や胃腸の不調などが続いている

・発達障害と似た症状がある

引用:愛着障害とは?大人と子どもの症状の違いや対処方法を解説します。 | atGPしごとLABO

って感じなんですよに。

 

最近の映画とかでわかりやすい例でいうと

MOTHERなんかが愛着障害のことを題材にしておりますけども。

 

ここまでわかりやすくエゲツない歪んだ育て方じゃなくてもね。

普通に愛着障害になっちゃうんですよ。

 

っていうのも、育て方のいびつさなんてさ。

他の家庭と比べるのも難しいし

愛着障害っていうのは親から子供に伝播もするもので

 

みんな親御さんもそれが普通だと思って子育てしてるわけじゃない。

 

だから、なかなか第三者にはわかりずらいんですよ。

 

そんで、発達障害(LDはちょっと別かもだけど)も愛着障害も

軽度知的障害かと言われるとそれはまた全然別の問題で

教育で根本改善できるような障害じゃないわけですよに。

 

教育で海馬や扁桃体がバカみてぇに正常レベルになったり

親御さんの育て方が驚くほど真っ当になったり

するわけじゃないじゃない。

 

がしかし、この本はどうしてもどうしても

病院で勤務していた頃、思春期外来に、不登校、家庭内暴力、自傷、夜間徘徊などを繰り返していた女子高校生が、保護者に連れられて来たことがありました。

度重なる不適切行動、家庭内暴力、薬の過剰服薬などから入院治療まで行い、本人となんども面接を続けてきました。

本人もその場では理解した様子でしたが、ずっと同じ行動の繰り返しでした。

その間、知能検査も行なっていたのですが、IQが70以上あったので、"知的に問題はない"と判断し、パーソナリティ障害を視野に入れ、看護師と協力して本人に厳格なルールを設定したり、保護者の言動にも疑問を持ち児童相談所に不適切養育(虐待)の疑いで通報したりしたのです。

引用:ケーキの切れない非行少年たち p138

こういうような家庭環境の女子高生のことも

振り返って考えてみなさんに伝えようとするときは 

しかし、今振り返ると、彼女の場合は知的なハンディが原因で不適切行動につながっていた可能性が高かった、と思います。

引用:ケーキの切れない非行少年たち p139

とにかく軽度知的障害のせいにしたいみたいなのよね。 

 

さっきの部分の引用でお分かりかと思うんですけども

この本は非行少年たちの生活歴や家庭環境は重要視しないわけですが

なんで重要視しないかというと、こういうことなんですと。

 

子どもたちは「対象」なのか「人」なのか 

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この画像は、作者が小中学校で先生や親御さんから

「子供の問題点」として相談を受けた内容の箇条書きなのですが

これらを見て、私はある共通点に気がつきました。

少年院などの矯正施設に送られる少年たちは、少年鑑別所、家庭裁判所で詳細な調査がなされます。

引用:ケーキの切れない非行少年たち p93 

  • あ、少年院の子達も一緒じゃん!

って共通点を発見した作者は

お次はこんなことをお考えになります。 

これまで私は、少年院に入るような少年たちの生活歴は特別にひどいものだと思って来ました。

確かに、被虐待歴、家庭内暴力、親の刑務所入所、離婚なども見られるのですが、全員に共通した項目ではなく、むしろ前記の特徴の方が共通していたのです。

そして、医療少年院で働く中でさらに気づいたのは、少年院に入る少年たちが特別にひどいのではなく、彼らはこういったサインを小学校・中学校に入る時から出し続けていた、ということでした。

引用:ケーキの切れない非行少年たち p94

つまり

  • 普通の学校の子達も同じ問題を抱えてるわけだから
  • 家庭環境とかよりもぶっちゃけこっち問題の方が大事じゃね?
  • 虐待とか受けてても同じ問題を抱えるんだったら
  • 家庭環境とか考えるよりも共通の問題を解決した方がよくね?

 と。

 

これが私の悪意あるまとめ方だと思う人もいると思うけども!

 

こちらの引用をちょいと見ていただきたいんですけど

とにかく"褒める"の嵐です。

私は聞いていて、いつも「またか」と思ってしまいます。 

引用:ケーキの切れない非行少年たち p122

学校でいろいろ相談を受けて

先生たちと話し合う時にでる対処法の中の

  • 子供たちを褒める
  • 話を聞いてあげる

ということに対して

この本は「もういい加減にしてくれ」というんだけども。

 

その理由というのが

”褒める” ”話を聞いてあげる”は、その場を繕うにはいいのですが、長い目でみた場合、根本的解決ではないので逆に子どもの問題を先送りにしているだけになってしまいます。

引用:ケーキの切れない非行少年たち p123

だと。

 

えーそうかなぁー。

話を聞いてあげるってすごい大事な気がするけどなぁー。

 

と思ってそのまま読んでみると

例えば、勉強ができないことで自信をなくしイライラしている子供に対して、「走るのは速いよ」と褒めたり、「勉強ができなくてイライラしていたんだね」と話を聞いてあげたりしても、勉強ができない事実は変わらないのです。

引用:ケーキの切れない非行少年たち p124

いやソレ話聞いてねぇから。

 

勉強ができない子に

「勉強ができなくてイライラしていたんだね」って

状況を言語化して子供に認識させただけだから。

 

話を聞くっていうのは

  • 勉強はやっぱりしたくないのかな?
  • 勉強の嫌なところってどこだかわかる?
  • 教えてくれたら一緒になにか考えれるから嬉しいな。
  • 勉強以外になにだったらやりたい気持ちになれる?
  • そのやりたいことはどこが好きなのかな?

とかとかこういうことを『対話』して

 

お互いに問題の理解を深めて

その問題解決の方法を考えて行くことちゃうんか。

 

他の部分でもまったく子供達の話を聞いてない様子

なんの疑問も挟まず書いてあるんですけども

ある殺人を犯した少年も、「自分はやさしい」と答えました。

そこで「どんなところがやさしいのか?」と尋ねてみると「小さい子供やお年寄りにやさしい」「友達からやさしいって言われる」と答えたりするのです。

"なるほど"と思いました。

そこでさらに私は「君は○○して、人が亡くなったけど、それは殺人ですね。それでも君はやさしい人間なの?」と聞いてみますと、そこで初めて「あー、やさしくないですね」と答えるのです。

逆にいうと、”そこまで言われないと気づかない”のです。

いったいこれはどういうことなのか。

引用:ケーキの切れない非行少年たち p41 

逆にいったいこれはどういうことなのか。

全然話聞いてねぇじゃん。 

 

ちなみに、この部分に関しても

  • 逆にいうと、”そこまで言われないと気づかない”のです。

といっていますけど

 

私は多分少年は「気づいていない」と思います。

 

自分が15.6の子供だと思って想像してほしんですけど

「どんなところがやさしいのか?」って聞かれて

「小さい子供やお年寄りにやさしい」って言ったあとに

 

「君は○○して、人が亡くなったけど、それは殺人ですね。それでも君はやさしい人間なの?」

って言われたらさ。

 

  • あ、何か間違ったことを自分は言ったんだな。
  • てことはこっちを言えばいいのか。

ってなって

 

「あー、やさしくないですね」

っていうしかないじゃない。

 

相手はカウンセラーで少年院の先生ですよ。

 

ここで私が思うのは

  • それは殺人ですね。それでも君はやさしい人間なの?

と、状況で社会的に間違っているというプレッシャーをかけるのではなく

 

彼の「やさしい」と私たちの「やさしい」のズレ。

 

この部分を彼の話を聞いて対話して

彼の「やさしい」をお互いに理解して

彼がその行為に至った根本を見つめることだと思うのです。

 

自尊感情と自己肯定感の違いについて

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よし、それじゃあまともなコトは

ひと通りお話ししたと思うので

パパ、雑言マシマシでいっちゃうぞー。

 

先ほどの「褒める」の件で

とにかく"褒める"の嵐です。

私は聞いていて、いつも「またか」と思ってしまいます。 

引用:ケーキの切れない非行少年たち p122

この本はこのようにいっておりましたが

 

その理由っていうのが

  • 褒めて自尊感情をあげてどうすんの?

というコトらしいんです。

そもそも「自尊感情が低い」ことは問題なのか、ということです。

我々大人はどうでしょう。

自尊感情は高いのでしょうか?

引用:ケーキの切れない非行少年たち p125

我々大人も、会社や家庭でいろいろ失敗もするし

自尊感情が高い状態でいる人は少ないじゃないか

と。

だからと言って、ほとんどの人が社会で犯罪を行なっている、不適切を起こしているわけでもありません。

つまり、自尊感情が低くても社会人としてなんとか生活できているのです。

引用:ケーキの切れない非行少年たち p125 

でも、私たちは自尊感情が低くても犯罪しないよね?

だから自尊感情をあげるって意味なくね?

自尊感情が低くても私たちはちゃんと生活してるんだからさ!

 

ってことらしいんですよに。

さらに。 

逆に自尊感情が高すぎると自己愛が強く、自己中のように見えてしまうかもしれません。

大人でもなかなか高く保てない自尊感情を、子どもにだけ「低いから問題だ」と言っている支援者は矛盾しているのです。

引用:ケーキの切れない非行少年たち p125

 だと。

 

もうこの人はおバカなんでしょうか。

 

あげるべきは自尊感情じゃなくて

自己肯定感でしょうが。

 

自尊感情って自己肯定感と同じ意味っぽく聞こえるし

現に一緒の意味で使ってる人もたくさんいるけども!

 

この本は別の意味でしっかり使いつつ

混合させる書き方なのが厄介なんですよ。

 

自尊感情っていうのは自分自身に自信を持つだとか

ブライドを持つみたいな意味でいいんだけど

自己肯定感はありのままの自分を肯定的に認めるコトなんですよ。

 

だから、この本で言うところの

  • プライドが変に高い、変に自信を持っている
  • 自分のことは棚に上げて、他人の欠点ばかり指摘する

っていうのは、自己肯定感が低くて

ありのままの自分を認められないから 

逆に自分を誇張したりしてしまう結果であって

 

間違って自尊感情が高まっちゃっている状態なんですよ。

 

そいで、大体の人がいう「褒めてあげる」っていうのは

自己肯定感が低くて自分のしたコトに自信が持てない子たちに

  • 大丈夫だよ、それはできているよ。

って教えてあげる、ありのままの状態を認めさせてあげる行動でさ。

 

低くなってしまった自己肯定感をあげてあげるためには

全くもって無駄でもなんでもないわけですよ。

 

ここを褒める側の大人がわかっていないと

この本みたいに「意味ねぇじゃん!」みたいになったり

過度に自尊感情をあげてしまうことにもなりかねないんだけど

 

この本はそこをちゃんと話してあげないとダメだろう。

 

そいでさらには

例えば少年院では

  • 自分のことは棚に上げて、他人の欠点ばかり指摘する
  • どんなにひどい犯罪を行なっていても自分はやさしい人間だという
  • プライドが変に高い、変に自信を持っている、逆に極端に自分に自信がない

といった少年たちがみられました。

殺人事件を起こしている少年でさえも「自分はやさしい人間だ」と言ったことに驚かされましたが、同時に「この自己への歪んだ評価をなんとか修正せねば更生させることはできない」と課題の所在も強く感じさせられました。

引用:ケーキの切れない非行少年たち p76

こんなことをいうんですけども。

 

さっきの「私たちだって自尊感情が低いじゃん!」とかいうならさ。

  • 自分のことは棚に上げて、他人の欠点ばかり指摘する
  • どんなにひどいコトを行なっていても自分はやさしい人間だという
  • プライドが変に高い、変に自信を持っている、逆に極端に自分に自信がない

私たちの中でもこんな人超いっぱいいるじゃん。

 

違いは「犯罪をするかしないか」でしょ?

 

つか犯罪に引っかからねぇでやってる奴らの方が

もっとヤベェだろばか。 

 

「この自己への歪んだ評価をなんとか修正せねば更生させることはできない」

と課題の所在も強く感じさせられました。

とか言うんだったらさ。

 

私たちですらも「してしまうこと」を

「犯罪をするかしないか」で区切って

  • でも、私たちは犯罪はしないもんね!

なんて言ってねぇで

 

この本書いたあなたも

自分が自尊感情が低いっていう部分をもっと見つめなさい。

って私は思いますですハイ。

 

「時計仕掛けのオレンジ」とケーキの切れない非行少年たち

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そして、この本は最後の章で

  • 犯罪者を納税者に

ということを提唱し始めます。 

いかに犯罪者を減らすことが日本の国力を上げるために重要か、お分りいただけるかと思います。

そのためにできること、それは「困っている子ども」の早期発見と支援であると考えます。

それに最も効率的に支援できるのは、子供達が毎日通い、かつかなりの時間を過ごしている学校以外にありえないでしょう。

今後、新たな視点をもった学校教育が充実していくことを願ってやみません。

引用:ケーキの切れない非行少年たち p179

そんで、これを実現するためには 

  • 新たな視点をもった学校教育が充実していくこと

が大事であり、それこそがこの本のいう「教育」

 

この「教育」っていうのが 

作者が発案した「コグトレ」なんだと。

 

うん、まぁいいですよ。

本も書いて自分の発案した「教育方法」を広めたいでしょうよ。

それはよい。

 

コグトレ学会なるものを作って

年会費とって正規会員によくワカンねぇ優遇つけて

マネタイズするのもまぁいいです。

 

ただこのコグトレってヤツの中身を見ると

私には「パブロフの犬」を

非行少年に施しているだけにしか見えないのよ。

 

もう打つのもめんどくさいから画像載せるけど

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このワークをすれば、殺人衝動を抑えきれない子でも

人を刺したいと思ったときに

  • これはダメなことだ!

ってブレーキをかけられるようになりました!

 

って言ってんだけど

これって条件反射でブレーキをかけているだけ

その子の殺人衝動は消えてないじゃん。

 

殺人衝動を持ってていいってわけじゃなくてさ。

  • 殺人衝動が沸き起こってしまう

っていう問題自体は

その子の中から解決されていないわけでさ。

 

その子はその後どれくらいの間

  • ボクは殺人という間違ったことをしたくなるような
  • みんなとは違うひどい人間なんだ

って気持ちで生きていかなくちゃいけないのさ。

 

それで結末は「犯罪者から納税者へ」、と。

 

寝言も寝ていえっつーんだよバカたれ。

 

この本を読んでほえーと思った人が

もしこの記事を読んでいたら

ぜひ、誰もボクを見ていないを読んでみてください。

私の考えとは全く違うものを感じるかもしれませんが

こちらの本は本当に真摯に少年に向き合った本なので

何かがきっとあなたに伝わるような気がします。

 

最後に

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私が言いたいのは

  • 彼らはコレコレこうだから犯罪に走ってもしょうがない

ってことではなくて

 

本当に彼らのことを考えて

犯罪に走ってしまう少年を減らしていくのであれば

どんな形であろうとシステマチックに

  • 知的障害
  • 発達障害
  • 愛着障害

とカテゴライズして対処するのではなくて

 

その少年ひとりひとりの個人を

一度、善悪のものさし抜きで見つめて

お互いに理解し合うことがすごく大切だと思う。

 

もちろん、一般社会の常識や善悪は大事だけど

彼らの善悪と私たちの善悪が違うモノだったり

彼らが常識というモノを知らない状態

 

少年たちをコグトレっていう「教育」で矯正するのは

その子の抱えている心の根本の問題を無視して

社会の良識で押さえつけ続ける

「時計仕掛けのオレンジ」の暴力映像を見せ続けるシーンとどこが違うのか。

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私に教えてくれよ。

 

って思う。

 

一般常識からしたら

ケーキを切れなくて

人を殺したのに「ボクはやさしい」というのは

 

理解できないし怖いし

実際にはどうしょうもない悪人の

サイコパスだっているかもしれない。

 

ここまでくると

本当に何を考えたらいいか正直わからない。

 

だけどケーキを切れなかった少年や

家出を繰り返す女子高校生は

部分でも道具でもない。

 

「納税者を作る」っていうのは

あまりにもだと思う。

 

このコグトレってやつが本人にマッチして

すごく人生がいい方向に向かっている子たちも

中にはもちろんいると思うし

 

それは素敵なことだと思う。

 

だけれども。

発達障害も愛着障害も

ある程度の傾向はあるけれども

 

その特性も原因も対処も

人によって十人十色なわけで。

 

その子が抱えている

当人の気づいていたり、気づいていない問題の全体

 

本人もこちら側も

お互いに理解し合うこと

本当の意味での再犯を防ぐことになると私は思う。

 

めちゃんこムズイことを言ってるのは

分かってるんだけど

めちゃんこムズイことだからこそ

 

こんなにカンタンに分かりやすく

センセーショナルに煽ってイメージをつけて

「教育」しようとするこのやり方はとても危険だと思うし

 

私は大嫌いだ。

 

どんな大きなことも小さなことも

その問題自身を考えるときには

当人の内面を理解していくしかなくて

 

この理解っていうのも

自分たちのもっている常識や良識と比べて

採点したり違いを探すやり方じゃなくて

 

本人の問題のそのままだけを一度見つめて

その問題の裏側にある、その子の理想の

その影に隠れている不満を分かってあげて

 

その不満や不安を一緒に受け入れて

受け入れた後にゆっくり一緒に手を取って

その不満につぶされてる真実を見つけてあげるのが

 

私は教育なんじゃないかと思う。

 

そこまで理解し合ってからが

初めて、善悪や良識の出番じゃないのかな。

 

教育はそうやって本当は

本人も私たちも

お互いの可能性を広げていくもののハズだよ。

 

以上。