カイシンノステミ

毎月100冊以上の漫画&小説を読みながら発達障害でわちゃわちゃしています

「発達障害の私が夫と普通に暮らすために書いているノート」は「普通に暮らすための本」じゃないんだからね!

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先日、とある出版社さんから「よかったら読んでみてください!」とメールをいただき

え〜元々気になってて買おうと思ってた本だからラッキー♬

と二つ返事で返信して送ってもらった本がありましたので
ちゃんと責務を果たす為にも今回はそちらをご紹介したいと思います。

 

結論から言いますと

発達障害のご家族やパートナーがいらっしゃる方には
かなりオススメの良本でした。

発達障害の当事者の方が読む場合は
ただ読むんじゃなくてちょっと考えてから読みましょうね。 

後半では「発達障害としてどう生きるか」までアタシ語り散らすから、みんなついてきてね!

お願い!一人にしないでね!

「発達障害の私が夫と普通に暮らすために書いているノート」あらすじ

Amazon 発達障害の私が夫と普通に暮らすために書いているノート

著者の「ななしのうい」さんは、夫と結婚して半年後に、発達障害(アスペルガー症候群とADHD)であることが判明。

それからは日々、自身や夫婦の間に起きたトラブルの事例や会話、原因・対策についてノートに記録し、ツイッターにアップしています。

ツイッターにアップしたノートの画像に対し、6万以上の「いいね」&2.5万以上のリツイートがつき、発達障害の当事者やその家族だけでなく、広く一般の方から多くの反響を呼んでいます。

引用:Amazon 

この本は「発達障害の人が書いた本」として読んじゃダメ!

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まず、この本を読む時に注意してもらいたいのが

この本を書いた「ななしのうい」氏は
「発達障害」であるとともに「愛着障害」でもあるという点。

 

愛着障害の症状の一つに

「愛されたい・注目されたい」という「承認欲求」が強くなってしまうというのがあり、承認欲求が強くなると「自己顕示欲」も強くなってしまう傾向があります。

まずはここをしっかり念頭に入れてこの本を読まないと、書いてある内容を「すんなり受け入れられる人」と「拒絶する人」に別れてしまう危険性が大です。

 

端的に言うと

文中から作者・ななしのうい氏の「ポジティブ自己顕示」がなかなかにぶつかってくるため、上記の部分を理解してから読まないと素直に内容を読めない、学べないから要注意!

ってことですな!

多分ネットとかアマゾンとかで不評な感想があったりするのは、自分のメンタルが弱ってたり助けを求めて読もうとした時にこの部分が「あなたは上手くいってて良いですね!」って感じちゃう事に起因してるんじゃないかな?

 

あと、書籍自体が「手書きのノート」で構成されているのも賛否が分かれてますが

この部分で「どうしようかなぁー」って悩んでる人は「発達障害で視覚的に難が強めの人」以外なら読んでるうちに慣れてしまうと思うので、あまり気にしなくていいかも。

私も視覚的に難がちょっとあるタイプの発達障害ですが

めちゃくちゃ読みづらかったけど1/3も読めば慣れました。 

「発達障害の私が夫と普通に暮らすために書いているノート」は『普通の暮らしがしたい人』にはオススメの良本

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そんで肝心の内容ですが、タイトルのそのまんまで

「発達障害を持ちながら『普通の暮らし』をしようと頑張っている」

人には非常にオススメの良本だと思います。

 

あくまで「ななしのうい氏のケース」なので個人差はありますが、発達障害で起きるトラブルに関して具体的な行動例と共に

  • 当事者の目線と気持ち・思考回路
  • サポートする側の目線と気持ち・思考回路
  • 医師としての状況の説明と補足

が織り込まれているので

「へー!普通の人ってそんなこと思うんだ!」とか
「発達障害ってソコをそんなにめんどくさく考えてるの!?」など

当事者・サポート側の双方で発見になるポイントもたくさんありますし、さらに医師からの説明もあるので理屈でも納得しやすいんではないかと。

 

この辺に関してはツイッターとかでも感想がわんさかあるので、そっちを読んだ方がわかりやすいかもね。

どちらかというと「サポートする側」の方が得るものがあるかも

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でですね、「発達障害の私が夫と普通に暮らすために書いているノート」は基本的に

発達障害に対して『誰かからのサポートが必須』というのが前提の内容になっています。

もちろん「ななしのうい」氏ご本人で努力されている部分もありますが

そこには土台として旦那さんの

  • 声かけ
  • 発達障害の思考回路・行動への理解
  • トラブル発生時のケア
  • 根気強い「ゴミ捨て」などのOJT(もうOJTだろコレは)

があってこその「発達障害の私が夫と普通に暮らすために書いているノート」になっているので、どちらかというと「当事者」よりも「サポートする側」の人が読んで

「こういうような事をしてあげると、助けになる事があったりするのね!」

って読むのがこの本のあり方な気がする。

 

あとがきも旦那さんが書いていたので、多分この本は「サポートする側の人たち」が『得るものがたくさんある!』と思って出版したんだろうなぁ。

発達障害としての「生き方」をどう考えるか

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そして、この本を読むにあたって、当事者の方で最重要になってくるのが

自分が発達障害として『どう生きていきたいのか』です。

この本はタイトルの通り「発達障害の私が夫と普通に暮らすため」の本なのですが

  • 果たして発達障害の人は「普通」に暮らさなくてはいけないのか?
  • っていうか、「普通の暮らし」って一体何よ?

ここをちゃんと考えたり頭の片隅に置いておかないと

読んだ時に「正体不明の義務感」「はいはい!あなたは上手くいっていいですねー!」な無駄なストレスが出てきちゃうので、みなさま要注意でっせ。

「あなたはどういう風に生きていきたいか」

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ここから先は私の意見なので、本の内容とはちょっと離れる&不平不満があったら是非私まで言ってくらさいませ。

一緒に討論して解決させましょう。

 

「発達障害の私が夫と普通に暮らすために書いているノート」のような『発達障害が何か工夫して普通の暮らしをしようと頑張っているモノ』を読むと、発達障害の当事者である私たちは

「こうして頑張っている人もいるんだ!私も頑張らなきゃ!」
って鼻から息を勢いよくフンスフンスするか

「ハイハイあなたは上手くっていいね〜恵まれてるね〜発達障害じゃねーんじゃね?」
つってネガティブになるか、このどちらかが多いと思います。

 

これ、両方間違ってはないんだけど

両方同じくらい危険だからね。

 

大事なのはその前の

あなたはどういう風に生きていきたいか。

でございます。

ななしのうい氏は「普通に暮らす」ために頑張っているわけではない

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ななしのうい氏は、決して「普通に暮らす」ために頑張っているわけではありません。

本の中でも語られていますが、ななしのうい氏は

「話し合いのしようがないんじゃ、このまま一緒にいることは難しくなる」 

という旦那さんの一言で「自分が崖っぷちから落ちている」という事実に直面し、そこで「自分のしたい生き方」が『愛している人と一緒に暮らす』だった事に気づくことができました。

発達障害と向き合っているけど

義務とかじゃなくて、自分の幸せをえるためにやってるよ

私の人生のモットーは、楽しく生きる。

楽しく生きるためには夫が必要で、その夫といるために特性の緩和が必要だからやってるよ。

引用:Amaozn 発達障害の私が夫と普通に暮らすために書いているノートp48

そして『愛している人と一緒に暮らす』ために必要なことが

ななしのうい氏の場合は『普通の暮らし』だっただけです。

 

ななしのうい氏は『愛している人と一緒に暮らす』ために

「発達障害の私が夫と普通に暮らす」事を頑張っているんです。

「どういう人生を歩みたいのか」が分かれば『誰でも歩き出せる』

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私は「どういう風に生きたいか」なんて、どんなことでもいいと思っています。

「社会的に自立した自分でありたい!」が「生きたい生き方」だったら、『普通の暮らしをすること』が必要になるかもしれませんし
(厳密には『なんで社会的に自立したいの?』ってもう1ステップありますが)

「オレは海賊王になる!」だったら『普通の暮らし』なんかしてる場合じゃありません。

 

一刻も早く大海原に旅立つべきです。

 

私たち大人の発達障害は、発達障害が判明する前も判明した後も、たくさんの人の声や常識というものを浴びる事によって「自分自身」というものを見失ってしまう事が多々あります。 

 

その結果何が起きてしまうかというと
本来の自分自身が持っていたはずの「価値観」や、大切にしていた「やりたい事」が分からなくなってしまい
「普通の人のように生活する事」「最大級に価値がある事」に思えて「やらなくてはいけない事」で人生がいっぱいになります。

 

そのため、私たち大人の発達障害は「目的」と「手段」を混合しがちになり、大体95%くらいの確率で間違った目的に向かって走り出します。

  

「みんな普通にしてる事を私もできるようになりたい」んですよね。

「みんな普通にしてる事はできた方がいい」から「私もできるようになりたい」

 

でも、明日世界が「人類は自由に生きるべきだ!遅刻もしょうがない!」ってなったら

会社の遅刻癖なんて治そうって思わなくない?

 

心から大好きな映画監督の新作映画の試写会が都内であったり

敬愛するミュージシャンの来日公演があったり

愛している人と一分一秒でも早く逢いたかったり

こういうのって、どんなに遅刻が当たり前の世界になっても絶対遅刻しないじゃん。
(イヤそれでもオレ遅刻するしぃってやつは発達障害以前に人生を悔い改めなさい)

 

自分が「そこに行きたい理由」「したい事」が自分でわかってるから、遅刻しないようにするわけでさ。

自分の「生きたい生き方」が分かれば「なぜ自分はこの行動をするのか」も明確になります。

そして「目的」がハッキリしている分、「手段」である行動にもちゃんとした意味がくっついてきて、やる気も継続して本当の意味での前進ができるんです。

 

自分の根幹にある「何が私はしたいのか」「どういう人生を歩みたいのか」を考えて見つける事ができたら、きっと誰もがこの「ななしのうい氏」のように、一歩ずつ問題に対処しながら前に進んでいく事ができます。

 

どうか、この本を読む時は

「発達障害の誰かが旦那と普通に暮らすことを頑張っている本」ではなく

「発達障害を持ちながら自分の送りたい人生に向かって足掻いている本」として読んでみてください。

 

そのなかで、あなたの「生きたい人生」とマッチしする部分があれば具体的なノウハウも活きてくると思いますし

あなたの「生きたい人生」とマッチしなかったとしても『自分の人生に向かって歩き続ける熱量』は感じられると思います。

「発達障害の私が夫と普通に暮らすために書いているノート」は「普通に暮らすための本」じゃないからね!まとめ

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 はい!というわけで今回は「発達障害の私が夫と普通に暮らすために書いているノート」をご紹介させていただいたのですが

後半ワケわかんない事になっちゃったかもしんないなんかゴメン。

 

でもね!言いたい事はさ!

発達障害をサポートする側の人はこの本結構良いよ!

当事者の方は発達障害のライフハックでもノウハウでも、「みんなが(誰かが)してるからやった方がいい」で始めてもあんまり長続きしないから「自分のしたい事」も一緒に考えようぜ!

 

って事なんですハイ!

 

じゃないと、この「発達障害の私が夫と普通に暮らすために書いているノート」に書いてある対処法とかも、実用的で役立つのにイマイチ続かなかったりしちゃってもったいないじゃんね。

 

というわけで、発達障害系の本の中ではナカナカの良本でございました。

気になった方は、是非。

くれぐれも手段に惑わされないようご注意を。

では!また!